理系、理工系に進学する子供たちへ

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 理系(りけい)、理工系(りこうけい)は、お医者さんなどを除けば、出世(しゅっせ)しにくい面があります。

 社会の中で、えらい人、力のある人、たとえば、政治家、会社の社長さん、地位の高い官僚(かんりょう。お役人さんのこと)、裁判官(さいばんかん)などは、多くが文系(ぶんけい)、文科系(ぶんかけい)です。

 社会のしくみを子供たちに教えないのは残酷(ざんこく)なことです。子供たちが、本当に社会のしくみを理解した上で、それでも理系に進学したいときに、理系に進学すべきなのです。

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I.理系離れ(りけいばなれ)の現状

1.出世や給料の点で不利な面がある理系

  理系離れとは、子供たちが理系、理科系に進学しなくなることを言います。理工系離れ(りこうけいばなれ)と言うこともあります。

 理系は文系よりも、出世(えらくなること)や給料(お金をかせぐこと)の点で不利なことが多いといわれます。必ずというわけではないのですが、歳をとるごとに文系の人の方が有利になっていくことが多いのです。お父さんやお母さんに、聞いてみてください。

 理系に進学すると、どうなるのでしょうか。人により異なりますが、高校から進学すると、多くは以下のようになります。まず、大学の理科系(りかけい)の学部(がくぶ)や、理系の専門学校(せんもんがっこう)などに進むことになります。そして、就職して、技術に関する仕事をすることになります。たとえば、技術者(ぎじゅつしゃ)、科学者(かがくしゃ)などになることになります。

 文系(文科系ともいいます)に進学すると、どうなるのでしょうか。人により異なりますが、高校から進学すると、多くは以下のようになります。まず、大学の文科系の学部や、文系の専門学校などに進むことになります。そして、就職して、事務に関する仕事をすることになります(事務職、じむしょく)。



 理系の人の間では、出世をしても工場長(こうじょうちょう)どまりという話が良く出ます。工場長とは、工場の管理をしている人です。その上には、もっとえらい重役(じゅうやく)さんがいて、さらにその上に、もっとえらい社長さんがいます。

 理系の人でも、工場長を超えて、社長さんになれることもあります。しかし、その可能性は、文系よりも少ないのです。

 理系の政治家も少しはいます。しかし、その可能性は、文系よりも少ないのです。

 理系のえらいお役人さんも少しはいます。しかし、その可能性は、文系よりも少ないのです。

 理系の裁判官も少しはいます。しかし、その可能性は、文系よりも少ないのです。



 理系で、立派な研究や発明をした人も、必ずしも高い給料などをもらっているわけではなく、会社の中での地位が高いわけでもないことも多いのです。

 そこで、日本では、理系の地位が低すぎると考えて、外国に行ってしまう人もいます。



 このように、日本では、理系離れが起こっています。

2.社会のしくみについて研究してから進路(進む道)を決めよう

 社会のしくみについて、十分に研究をしてから、自分の進路を決めることが大切です。

 私は、子供のころ、社会のしくみに対する理解が不十分でした。

 それで、後でひどい後悔(こうかい)をしたのです。同じような目にあう子供たちを、今後は出してはいけないと思うのです。

 

3.理系にも良い点がある

  理系にも良い点も、もちろんあります。就職に有利なこともありますし、理系の仕事が好きな人もたくさんいるのです。

 また、人には向き不向きもあります。社会の中での地位や給料についてのデータは、あなたにはあてはまらないかもしれません。

 しかし、大人になると、子供の頃とはちがって、いろいろな現実に向き合わなければならなくなります。色々な面で、考え方もちがってくるのです。

 そのことを、子供の頃から理解するのはむずかしいかもしれませんが、十分に研究してみてください。

 大人なってから後悔しないように、自分でよく研究するとともに、まわりの大人と十分に話し合うことが大切です。

 文系の大人と、理系の大人の両方の意見を、できる限りたくさん聞くことが大事です。

 また、自分でも情報を集めてから、進路を決めることが大事です。

 単に、数学ができるから、理科ができるからという理由で理系に進むというのでは、後で後悔することになるかもしれません。



II.理系離れを食い止めることは残酷である 

 大人たちの意見の中で、理系離れを食い止めるために、理系に進ませようとする意見もあるので、注意してください。

 日本の大人の中には、理系離れを食い止めようとする人もいます。

 この国が傾いていくので、理系の人数を増やして、科学技術により、日本の地位を高めてほしいという動きがあります。

 そうやって、理系の人数を増やして、理系を安く使おうという考え方もあるのです。



 これは、残酷(ざんこく)なことですが、社会のしくみの中には、このような残酷な面もあるのです。

 これは、子供の頃から理解することは難しいかもしれませんが、後悔をしないためには、知っておく必要があります。

 なぜ、日本には、理科離れ(りかばなれ)を防ぐための理科教室や、科学アニメがたくさんあるのか、外国には同じようなものがあるのかなど、研究してみてください。

 お父さん、お母さんにも、良く聞いてみてください。お父さん、お母さんは、多くの場合、社会をよく知っているので、あなたの幸せを考えてくれるでしょう。



III.理系離れにより理系の地位は良くなるのか

 これは、大人も良く分からない難しい問題です。

 しかし、日本が問題に真剣にとりくまないと、たぶんよくならないでしょう。

 日本の理系が減っても、世界的には、理系は増え続けます。

 中国やインドには安いお金で働く人はたくさんいます。これらの人々と、日本の理系の人は、多くの場合、競争しているのです。

 中国やインドの人は、1日500円など、本当に安いお金で働くのです。

 えらい人(多くは文系です)は、日本の理系が1日10000円を要求すれば、それならば、中国やインドの人に、1日1000円で働いてもらいましょうというかもしれません。

 お医者さんは、中国のお医者さんや、インドのお医者さんと競争していません。中国のお医者さんや、インドのお医者さんに、日本人がかかることはあまりないからです。日本で病気を治せるのは、日本のお医者さんです。 

 だから、お父さんや、お母さんは、理系に進まないように、あるいは、理系に進むのであれば、医学部(いがくぶ)にしなさいというかもしれません。

 子供のころ、そういう考えには反発するかもしれません。あなたの人生は、あなた自身が決める必要があるでしょう。でも、ほとんどの場合、お父さんと、お母さんは、あなたの幸せを考えて言っているのです。



IV.理系の地位を高めること 

 理系離れの原因は、理系(医者などを除く)の地位が必ずしも高くないことにあります。

 それは、「医者ばなれ」などというものが話題にならないことからも分かるでしょう。

 医学部に行きたい人が減ってしまって、医学部の偏差値(へんさち)が低下して困るという話は、聞いたことがありません。

 医者ばなれによって、皆が簡単に医者になれるなどという話も、聞いたことがないのです。

 医者ばなれを防止するために、学校に、医学教室などを作って、みんなを医者にするため必死になる大人の話も、聞いたことがありません。 

 医者の地位が高いので、「医者ばなれ」どころか、多くの人が医者になりたくてなりたくてたまらないのです。

 医者になりたい人が、医学部に殺到(さっとう)し、「医者ばなれ」など起こりようがないのです。

 理系離れの原因が何かは明らかなのです。理系の地位を高めれば、理系離れは終わります。

 技術者や科学者にみんながなりたがり、人が、理学部(りがくぶ)、工学部(こうがくぶ)に殺到することになるのです。



 日本は、これから厳しい時代となり、経済競争(けいざいきょうそう)のために、理系の人々がますます重要になります。しかし、日本は、理系の地位を引き上げる運動が十分に行なわれなければ、理系の給料などを下げるでしょう。

 日本は力が弱いため、経済競争に生き抜くために、理系の人々を安く使い捨てることが行なわれているのです。

 これは、変えなければならないのですが、変えられるかどうかは、今のところわかりません。

 とりあえず、理系は重要だから大事にされると考えるのは、必ずしも正しくないことを理解しなければならないのです。

 たとえば、すでに理系の博士(はかせ)は、日本にとって重要であるとされ、人数が増やされました。人数が増えた博士の中には、地位が下がり、就職もままならなくなった人がたくさん出てきてしまったのです(ポスドク問題と言われます)。

 国にとって重要な若い人こそ、最も低い取り扱いを受けることもあります。この点については、おばあさんや、おじいさんが良く知っているかもしれませんので、聞いてみてください。

 昔は、日本のために、兵隊(へいたい)さんとして、若い人が集められました。国のために重要だと言われていた兵隊さんたちは、良く扱われたのでしょうか。そうではなく、お国のために死ぬことが求められたのです。



V.理系離れの解決へ向けて

 わたしたちは、理系の地位を上げて、理系離れ(りけいばなれ)の原因をなくそうとしています。

 理系の地位が上がるかどうかにより、最も影響を受けるのは、今の子供たちなのです。

 このようなことを実現するには、多くの人が、協力することが必要です。お父さん、お母さんや、先生にも、この運動について話してみてください。

 犠牲(ぎせい)になる人を、これ以上増やすことはできないのです。



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